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​最高裁での要請

 私は、この最高裁の要請の場で、今回を含め3回目の発言の機会を頂きました。発症50年目のB型慢性肝炎除斥原告です。発言の機会を頂き感謝に堪えません。

 今年6月30日現在のB型肝炎被害の全数等について、弁護士の方を通じ、厚生労働省に問い合わせをしました。その結果は3月31日現在提訴総数120977件、和解数102264件、未和解が18713件。和解者の内訳としての死亡件数や肝硬変・肝がんなどの重篤な患者案件総数は22923件で、この中の死亡者総件数8923件の内、除斥671件という、未曽有の大震災にも匹敵する、大災害であることがわかりました。

 また、当該肝硬変除斥原告と同じ除斥和解原告は289件で、想像を絶する辛い状況の中、いったいどんな思いで和解されたのでしょうか。そして、未和解の18713人の中にどれだけの発症者である除斥対象者がいるのでしょうか。

 国が2011年にその責任を認めたにもかかわらず、完全な救済などと言うものではなく、多くの除斥原告を置き去りにし、日々除斥の対象者が増え続けている実態が覆い隠されています。

 予防接種法という法令の実施において、膨大な数の国民が、被害を被り続けているB型肝炎訴訟で、除斥制度がまかり通って良いのでしょうか。社会正義とはいったい何なのでしょうか。

 2021年4月26日ここ最高裁でB型慢性肝炎について一部除斥が撤廃される判決がなされ、その際三浦裁判長が補足意見で「極めて長期にわたる感染被害の実情に鑑みると、上告人らと同様の状況にある特定B型肝炎ウイルス感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図るため、国において、関係者と必要な協議を行うなどして、感染被害者等の救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待するものである」との司法の立場からの見解を述べられました。あれから、早3年半以上が経ってしまいました。

 その間、福岡高裁で国との協議が進められていますが、原告側の主張に対して国は次々と新たな反論を出し続けています。

 また、本件最高裁にかかっている肝硬変除斥にいたっては、大阪高裁で非代償肝硬変という医学的症状の悪化は、裁判の除斥判断には影響しないなどという、疾病に関する医学的知見を全く無視した判決が出てしまいました。

 すべての原因の根本は、危険性がはっきりしているにもかかわらず国が行った集団予防での注射器の使い回しであり、このことを最高裁が断罪し、そのうえで国は責任を認めたのではなかったのでしょうか。

 昨年もここ最高裁で申し上げましたが、福岡高裁の進行協議いかんでは、全国のすべてのB型肝炎除斥訴訟が、未調整のままここ最高裁判所に戻ってきてしまうのではないでしょうか。 三浦裁判長の補足意見は完全に無視され、言い換えれば司法の意見などを、国は全く意に介していないと言えないでしょうか。悲しい限りです。

 このようなことが今後繰り返されないように司法の立場から、しっかりと社会正義を実現していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

~​2024年11月19日最高裁での発言~

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